2025/06/28
こんにちは。港南台パーク歯科クリニックの衛生士です。
今回は、永久歯を失ってしまった際の治療法についてお話しいたします。
最近歯を抜いたばかりで、今後の治療方針にお悩みの方は、ぜひご参考にしていただければ幸いです。
はじめに、歯を失ってしまう主な原因を3つご紹介します。
①歯周病(日本人が歯を失う原因第1位 約37%)
皆さんもよく耳にする歯周病(歯槽膿漏)は、細菌によって歯を支えている骨が溶けてしまう病気です。初期にはほとんど自覚症状はありませんが、進行すると『歯の揺れが強くなる・噛めない・痛い・腫れる・出血がする・口臭がする』などさまざまな不快症状が出てきます。そして最終的には歯が自然に抜け落ちてしまうこともある非常に恐ろしい病気です。
②虫歯(日本人の歯を失う原因第2位 約29%)
虫歯は、お口の中にいる虫歯菌が食べかすなどを分解して作る酸によって歯が溶けてしまう病気です。
小さな虫歯で抜歯をするケースはほとんどありませんが、
・虫歯が大きく、歯の大部分が溶けてしまっている場合(歯茎の中深くまで虫歯になってしまっている場合)
・治療での回復が見込まれない場合(何回も神経の治療を行っているにも関わらず腫れや痛みを繰り返す場合)
このようなケースでは、抜歯が必要となることがあります。
③破折(日本人の歯を失う原因第3位 約18%)
「破折」とは、歯が折れてしまった状態や、ヒビが入ってしまった状態のことを指します。
事故やアクシデントで歯を強打した際、深い位置で折れてしまうと抜歯をしなければなりません。
また、根管治療(歯の神経の治療)を受けた歯は、歯が薄くなってしまっているケースが多く、硬いものを噛んだり歯を食いしばった際に、歯の根にヒビが入ってしまい、抜歯が必要になってしまうケースが多々あります。歯の神経を残した方が良いと言われる大きな理由の一つがこの歯根破折(歯のヒビ)になります。
基本的には破折してしまった歯には治療法がなく抜歯が必要になります。
ここからが本題です。
歯を失ってしまった際の主な治療法は3つあります。
それぞれのメリット、デメリットを紹介していきます。
① 義歯(入れ歯)
義歯には、一部の歯を失った場合に使用する部分入れ歯と全ての歯を失なった場合に使用する総入れ歯があります。
保険診療の範囲で作る義歯から自費診療で作る義歯など様々な種類の義歯があり、患者様のご要望に合わせて作製することが可能です。
メリット
・取り外し可能なため、清掃・お手入れがしやすい
・調整や修理が簡単
・製作期間が比較的短い
・保険診療であれば費用を抑えられる
・インプラントのような外科処置が必要ない
・ブリッジよりも歯を削る量が少ない
デメリット
・噛む力がやや劣る
・装着時に違和感を感じやすい(喋りにくいなど)
・見た目が悪い(お口を開けた時、笑った際などに金属の留め具が見えてしまうなど)
・取り外しが面倒
・慣れるまで時間がかかる
※ 自費治療では、ノンクラスプデンチャー(金属の留め具を使わずに自然な見た目に仕上げられる義歯)などもあります。また保険外治療の入れ歯は薄くて違和感が少ないものもあります。
②ブリッジ
ブリッジは、失ってしまった歯の両隣の歯や近くの土台となる歯を削って土台とし、歯がない部分を人工歯で補う治療法です。
こちらも入れ歯と同様に保険診療、自費診療を選択して治療することができます。
保険診療で使用する材質は金属とプラスチックになります。
自費診療で使用するセラミックやジルコニアは、より見た目を自然に美しく仕上げることができます。
また、汚れが付きにくい材質なので、ブリッジの支えとなっている歯が虫歯や歯周病になりにくく、ブリッジと自分の歯の寿命を長く保つことが期待できます。
メリット
・違和感や遺物感が少なく自分の歯と似た自然な噛み心地
・比較的治療期間が短い
・保険診療であれば費用を抑えられる
・インプラントのような外科処置の必要がない
・取り外しの必要がない
デメリット
・ブリッジを被せるために土台になる歯を削る必要がある(一度削った部位は虫歯になりやすくなる)
・連結しているため手入れがしにくく、支えとなっている歯が虫歯や歯周病になるリスクが上がる(一般的なフロスだと通しにくいため、歯間ブラシや専用フロスでのケアが必要)
・支えている歯に負担がかかる(歯根破折のリスクが高くなる)
・保険診療で製作した場合は金属を使用するため、見た目が悪い
・複数の歯を連結させている被せ物なので、義歯と比べると修理が難しい
(何か不具合が出た時には被せ物を壊して再製作しなければならないことがある)
③インプラント
インプラントは、外科的処置で顎の骨に人工的な歯根を埋め込み、その上に人工の歯を装着することを言います。
インプラント治療は基本的に保険外(自費)治療で行われます。
メリット
・ブリッジや入れ歯ように歯を削る必要がなく、他の歯への影響が少ない
・自分の歯により近い状態を再現できるため違和感が少なく、食事や会話がしやすい
・審美性(見た目)に優れている
デメリット
・治療費がかかる
・外科的な処置が必要になる
・治療期間が長い
・定期的なメインテナンス、正しいセルフケアが必要
(インプラントも歯周病と同様、汚れが溜まるとインプラント歯周炎になってしまい、
最悪の場合にはインプラントが使えなくなってしまうこともある)
今回は歯を失った際の3つの主な治療法について紹介させて頂きました。
患者様それぞれのご年齢・お口の状態・ご要望・ライフスタイルによって最適な治療方法は異なります。
大切なのは、患者様ご自身がしっかりと納得された上で治療法を選択していただくことです。
ブログだけでは伝えきれないことやわからないこと、もっと詳しく聞きたいことがあると思います。
ご相談、お悩みがある方は是非、当院までお気軽にご相談ください。
スタッフ一同、心よりお待ちしております。
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