2025/04/28
, ブリッジ
治療内容
保険の金属のブリッジからメタルフリーのジルコニアブリッジへ期間
1ヶ月治療回数
4回費用
ジルコニアブリッジ(3本) 264,000円(税込)
患者様は、メインテナンスに通院されていた50代女性の方です。
左下の3~5番目の歯に、かなり前に保険治療で作った金属のブリッジ(欠損した歯の代わりとなる人工歯を、両隣の歯を支えにして装着するもの)が入っておりました。
こちらは反対側(右下)のブリッジの写真になりますが、イメージとしては同じようなブリッジが入っておりました。
①説明・材質の相談
ブリッジは20年近く使用されていたようで、金属の劣化とセメントの劣化により、外れかかっている状態でした。
患者様自身は、ブリッジが外れかけていることに気がついておりませんでしたが、検診で衛生士がクリーニングをしている際に、ブリッジが動くことに気がつきました。
このような状態が続くと、ブリッジと土台の歯との間に細菌が入りこみ、ブリッジの下で虫歯が進行してしまいます。
虫歯は、初期の状態ではほとんど気がつくことが少なく、痛みを感じてくるようになるとすでにかなり進行しており、神経を抜かなければならなくなってしまうことが多々あります。
このようなことを説明させていただき、患者様は前向きに治療を希望されました。
ブリッジの種類は以下の3種類があります。
・保険適応の硬質レジン前装ブリッジ
保険適応の金属フレーム+硬質レジン(プラスチック)のブリッジになります。
メリットは、保険適応によりコストを抑えることができる点です。
おおよそですが3割負担で25,000円程度です。
デメリットは、外側は白くできるのですが、噛む力がかかる上の面は金属となるため、お口を開けた際に金属が見えてしまう点です。
また、金属を使っているので金属アレルギーの可能性や、金属の溶出により歯茎が黒くなる点が挙げられます。
こちらは前歯の硬質レジン前装冠ブリッジですが、イメージはこのようなものになります。(外側は白く、噛む面が金属です。)
・セラミックブリッジ
メリットは、金属を全く使用しないセラミック治療のため、見た目が自然で美しい点です。
デメリットは、セラミックはブリッジにする場合はやや強度に不安があり、歯を削る量が増えたり、ケースをしっかり選ばなければブリッジが破折してしまったりする可能性がある点です。
また、保険外治療になりますので、当院の場合ですとブリッジ(3本)で181,500円(税込)とコストが高くなる点です。
・ジルコニアブリッジ
メリットは、金属を使わないジルコニアによる白い材料による治療のため、セラミックと同じく見た目が美しい点です。
ただ、セラミックの方がより透明感があり、自然の歯に近いので、見た目に関してはセラミックと比較するとジルコニアは少し劣ります。
しかし、ジルコニアはセラミックより3倍程度の強度があるため、ブリッジ治療には最適の材料となります。強度があるため、歯を削る量も少なくすみます。
また、表面がかなりツルツルしており、汚れがつきにくくお手入れがしやすいので、長持ちする可能性が高くなります。
デメリットは、セラミックと同様に保険外治療となりますので、コストが高くなる点です。当院ですとブリッジ(3本)で264,000円の費用がかかります。
患者様とご相談の結果、今回はジルコニアによるブリッジの治療にすることとなりました。
②古いブリッジの除去・仮歯のセット
今回は土台となる歯が神経のある歯でしたので、部分麻酔をして、まずは古いブリッジを除去しました。
定期的なメインテナンスに通院いただけたことで、早い段階でトラブルに気づくことができましたので、ブリッジの下はほとんど虫歯にはなっておりませんでした。
丁寧に土台の歯の形を整え、当日は仮歯を作って治療を終了としました。
治療時間は60分かからない程度でした。
こちらが歯の形を整えた写真になります。拡大鏡(ルーペ)を使用して、精度が高い被せ物ができるように丁寧に形を整えました。
③型取り
歯を削った後、痛みや不快症状が出ていないことを確認し、型取りをしました。
④ジルコニアブリッジのセット
こちらが完成してきたブリッジの写真になります。
丁寧に噛み合わせを調整して、セメントにてセットしました。
治療後は、知覚過敏などの不快症状もなく、ご自身の歯が白くなったことにとても喜ばれておりました。
反対側の金属のブリッジもタイミングを見て、同じジルコニアでの修復を希望されております。
・予後を完全に保証するものではありません。ブリッジはお手入れがしにくいので、ご自身での毎日のセルフケアが非常に大切です。
・ジルコニア治療は自由診療となります。
・支えとなる歯の状態が悪い場合は、ブリッジ治療が適応できない場合がございます。
今回の症例で良かったと考えられる点は、『定期検診に通院いただいていたため、症状が出ない早い段階でトラブルに気づけた』という点です。
何も異常がなければ歯医者に行かない、という方が多数いらっしゃるかと思いますが、ご自身で異常を感じた時はすでに虫歯や歯周病など、歯のトラブルがかなり進行してしまっている状態です。
早い段階で異常に気づくことができれば、ちょっとした治療で対応が可能です。虫歯で痛みを感じるようになってご来院いただく際には、神経を取らなければならなくなってしまっていることが多いです。
歯周病で大きく腫れてきたり、ご自身で歯の揺れに気がついたりした時には治療の施しようがない場合も多々あります。
定期検診でご自身の歯の状態を定期的にチェックすることはとても大切なことです。
ブリッジは、被せ物が繋がった装置(最低3本)をお口の中に装着する治療になります。
ほとんどご自身の歯と同じように、違和感なくお食事をお取りいただける治療方法になりますが、装置の設計上フロスを通すことができないなど、お手入れが難しいのがデメリットとなります。
そのため、ブリッジ治療をする場合は汚れがつきにくく、お手入れがしやすいジルコニアでの治療がオススメとなります。
また、お口の中は様々な食べ物・飲み物(辛いもの・酸っぱいもの・熱いもの・冷たいもの)が通過するため、とても過酷な環境です。
そのような過酷な環境下では金属はやはり劣化してしまい、虫歯の再発の原因となってしまうことが多いので、ジルコニアでの治療が最適かと思います。
古い金属を外すと、大きな虫歯が下で広がっているケースなども多々ございます。
長期間歯科医院に通院されていない方はぜひ、定期的な受診をおすすめします。
どんな些細なことでも結構ですので、お困りの方はぜひ一度、ご相談ください。
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港南台パーク歯科クリニック 院長 川又
【症例】ケガで失った前歯に対するインプラント治療
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