2025/08/23
, 根管治療
治療内容
マイクロスコープを用いた下顎大臼歯の破切器具除去期間
1ヶ月治療回数
2回費用
精密根管治療相談 5,500円(税込)
患者様は40代の男性で、他院の先生からのご紹介で来院されました。根の治療中に折れてしまった器具を除去してほしいというものでした。
レントゲン写真を見ると、根の1/2程度の長さの細くて白い像が認められました。これは薬ではなく『ファイル』と呼ばれる根の治療をする器具の先端で、金属疲労や強いねじれの力により破切し、根管内に残存してしまった状態です。
こちらが術前の写真となります。
白い治療用器具が、根の先の方で折れてしまっているのが分かるかと思います。
①精密根管治療相談
まずは折れてしまった器具の正確な位置や根の状態を詳しく調べるために、普通のレントゲン写真に加えてCTを撮影しました。
CTを見ると除去できる可能性が高いと診断できたため、患者様とご相談の上、保険外の精密根管治療を行う予定としました。
②精密検査
マイクロスコープで根の中をよく精査します。この時点で歯の根にクラック(ひび割れ)が見つかってしまった場合、根管治療を行っても歯を完治させることが不可能となるので、治療は中断となります。
今回のケースでは幸いにもクラックがなく、折れてしまった治療用器具もマイクロスコープで確認することができましたので、精密根管治療を行なっていくことに決定しました。
③精密根管治療
根管治療に必須のアイテムであるラバーダムをセットします。ラバーダムは唾液中の菌を根の中に入れないようにするための大切な装置となります。
次に、実際の除去作業に入ります。マイクロスコープで拡大視野下で破折器具の断端を確認します。その周りを専用の細い超音波チップを用いて広げた後、超音波器具の振動を利用して破折器具を取り出しました。
この治療はマイクロスコープを使用しない場合、根の側面を必要以上に傷つけ、穴を開けてしまうリスクが高くなります。そのため、マイクロスコープ下で慎重に治療を行います。
取り出した後のレントゲン写真がこちらになります。
レントゲンとマイクロスコープ下で根の中に折れた器具が残っていないかをしっかり確認した後、徹底的に洗浄・消毒を行い、根の中を綺麗にしました。
④根管充填・築造
根の中にガッタパーチャと呼ばれるゴムの材料を詰めて、細菌が侵入・繁殖しないようにします。その後、さらに接着性のあるレジン(樹脂)にて土台を立て、細菌が侵入できないようにしました。
こちらが治療後のレントゲン写真になります。
現在は痛みもなく、今後は紹介元の先生のクリニックにて被せ物を作成していただく予定です。
・根管治療は根の中に住み着く細菌を相手にする治療となりますので、確実に治癒する保証はありません。成功率は歯の状況に応じて上下します。通常の根管治療で保存ができない場合は、歯根端切除術という外科的歯内療法を行う場合があります。
・精密根管治療は保険適応外の自由診療での治療となります。
・保険内の根管治療も行なっておりますので患者様のご希望に応じて治療が可能です。
・根管治療後は、補綴治療(被せ物)が必要です。保険外で根管治療を多なった場合は被せ物も保険外のセラミックやジルコニアを選択しなければなりません。
・破折器具の除去は全てが除去できるとは限りません。折れてしまった器具の種類、根の中での位置、根の曲がり具合などで除去の難易度が変わります。
根管治療に伴う治療用の器具の破折は、頻度こそ少ないものの避けることができないトラブルです。しかし、マイクロスコープを用いて除去できるケースも多々あります。
かかりつけのクリニックにマイクロスコープが無いという方は、当院で根の治療だけを行うことも可能です。精密根管治療相談も行っておりますので、お気軽にご来院下さい。
スタッフ一同お待ちしております。
港南台パーク歯科クリニック
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